学校の先生がいない!!

学校の先生がいない!!
深刻な教職員の人員不足にどう対処する?

新学期当初に学校に必要数の先生がいない。笑い話ではなく、本当の話で事態は深刻です。大分県内の小中学校でも、2022年4月8日現在で小学校29人、中学校17人、義務教育学校3人、県立高校2人、特別支援学校2人の合わせて53人の教職員が足りていません。今後この数は、減るどころか増えていく可能性があります。なぜなら、病休や産休・育休に入る教職員もいるからです。

この傾向は大分県だけではなく、今や全国的な教員不足に陥っています。この原因について大分県教委は、「大量採用した教職員が退職を迎え、その分採用者数が増えたため、臨時任用教職員の数が減って補充が効かなくなった」「教員免許更新制度の時、更新しないまま免許が失効してしまった人がいる」などと説明しています。それも一因でしょうが、それだけでこんなにも人員が不足したりするでしょうか。
県教委は、大分大学教育福祉学部に対し教育学部の入学定員数を増やすよう要請するようですが、少子化の中どこの大学、どこの学部も入学者が欲しい状況です。若者が進んで教職の道を選んでくれなければ、定員数だけ増やしても結局は人が集まらない状況の「定員割れ」になれば、文部科学省も黙ってはいないでしょう。

これから「少子化」と呼ばれる時代、いかに若者・次世代に選んでもらえるか。教職員のみならず、自治体の技術系職員も定員割れを起こすなど、人員不足で災害復旧事業などの大きな支障が出ているといいます。どこも欠員だらけで、どの職種・どの業種も人が集まる工夫や魅力が必要です。では、今の大分県の学校現場の状況は、若い人が進んで選ぼうと感じる魅力あふれる職場でしょうか?

大分県には、他の県にない独自の「人事ルール」が存在します。特に新採用から概ね10年ほどの教職員に、いろいろな地域や学校で様々な体験や研修を積んでもらうというねらいのもと、広域人事異動をするようになっています。では、この人事ルールが若い教職員にどのような負担を強いているのか、教職員組合がとったアンケートの中から見てみたいと思います。

次の表は、教職員組合が組合員(概ね10年3人事地域異動対象者)を対象にとったアンケート調査を集計したものの一部です。採用者数が多い小学校勤務者が最も多く、次いで中学校、養護教員となっています。年齢も新採用者が多いため20代が最も多くなっています。つまり、就職してこれから生活設計や人生設計を始めようとする若い人たちが主だということです。
そのような彼・彼女らが、おおよそ10年間にわたり、3年ごとに大分県下全域をあちこちに異動させられるということがどのようなものなのか、私たちは知らなければなりません。

困りや不安や負担と感じることで最も多かったのは、結婚や出産、育児に関するものでした。当然でしょう。20代が最も対象者として多い年齢ですから。次に、3年ごとの異動のたびに住居を変えざるを得ない教職員も多いようで、引っ越しにかかる経済的負担が大きくのしかかっているようです。採用されて間がない新米教職員ですから、引っ越し費用の負担は大きなものです。しかも教育委員会がその負担を補充してくれるわけではありません。
将来設計に関わる不安と経済的負担、この二つをとってみても、若い教職員にとってこの人事ルールがいかに重荷になっているかが分かります。人の子どもの教育をする仕事をしながら、自らの結婚や子どもの妊娠・出産・育児にためらいを感じてしまう。子どもたちを育てる教職員が、自らの家庭や子どもを持つことができなくて、大分県の少子化問題が解決するでしょうか。それだけを見ても、この人事ルールがいかに罪深く無責任なものであるか、理解できると思います。
若いうちに、いろいろな規模の学校を経験させて研修させることが人材を育成することにつながる、と教育委員会はいいます。これこそ教育が何たるかを知らない者の言うことです。教職員を育てるのは学校の規模ではなく、子どもたちや周りの教職員との関わりです。もちろん、学校の規模や地域の違いは全く関係ないとはいいません。しかし、いろいろな個性を持った子どもたちと自分の周りの教職員との関係の中で、先生としての力が磨かれていくのです。2〜3年ごとにくるくる学校をかわることで、人材育成などできるものではありません。少なくとも、対象者の先生方にメリットを聞いても、「まあ、いろいろな学校に行けたことかなあ」ぐらいしかないようです。逆にデメリットはたくさん出てきて、「早くこんな人事はやめてほしい」と皆さん異口同音に訴えます。

なお、よく「大規模学校ばかり経験していると、小規模学校に行った時に戸惑う。逆もまたある」と言われますが、私の経験から言ってもそんなことはありません。教員はそれほど適応力がないことはありません。確かに子どもたちの数の違いに戸惑うことが、最初はあるかもしれませんがすぐに慣れます。だって、やることに違いはないのですから。学校の様子にも1年2年いれば慣れてしまいます。
それよりも最も重要なのは、管理職の違いでしょうか。特に、若い教職員の自主性を認めながら、大事な所では的確なアドバイスができ、若手のやる気を出させる指導力を持った校長がいるか、それとも常に監視し頼みもしないのに口を出し、しかもやる気を削ぐようなアドバイスしかできない管理主義的な校長がいるかが、1番影響が大きいと言えます。教育委員会は管理職試験を見直し、頭でっかちな管理職を作ることをやめ、真に指導力のある誰からも尊敬されるような管理職を採用することの重要性を認識すべきであると考えます。

大分県教育の未来をし背負って立つ若い先生たちに、このような仕打ちを続けていれば、大分県の学校の教壇に立つ若い教職員はすぐにいなくなるでしょう。現に2022年の小学校教員採用試験の倍率は1.00倍になってしまいました。これは、採用予定者数しか希望者がいないと言うことで、予備の教員(急に教員の数が足らなくなった時の補充要員)がいないことを表します。こんなことが続けば大分県教育は「先細り」し、やがて潰れてしまうでしょう。この深刻な教職員の人員不足に、大分県教育委員会はどう対処するのでしょう。


https://www3.nhk.or.jp/lnews/oita/20220720/5070013236.html (NHK大分NEWS WEB 2022年7月20日付け)より

大分県教育の未来をし背負って立つ若い先生たちに、このような仕打ちを続けていれば、大分県の学校の教壇に立つ若い教職員はすぐにいなくなるでしょう。現に2022年の小学校教員採用試験の倍率は1.00倍になってしまいました。これは、採用予定者数しか希望者がいないと言うことで、予備の教員(急に教員の数が足らなくなった時の補充要員)がいないことを表します。こんなことが続けば大分県教育は「先細り」し、やがて潰れてしまうでしょう。この深刻な教職員の人員不足に、大分県教育委員会はどう対処するのでしょう。

教育は国家100年の計。資源に乏しい日本にとって、子どもたちは宝。その子どもたちを育てる教育こそ大切です。大分県は、かつて多くの学者や政治家を排出した教育県でした。それは、福沢諭吉や広瀬淡窓など優れた教育者がいたからです。子どもたちに豊かな教育を提供するためには、教職員に子ども一人ひとりとゆっくり向き合う時間が保障されなければなりません。遠い学校へ異動し、通勤に片道1時間以上(往復2時間以上)かかれば、ゆっくりどころか疲労が溜まる一方。教職員が授業に集中できるよい環境づくりこそが、教育委員会の大事な仕事。ぜひ、大分県教育委員会には子どもと先生方のために、教育委員会としての本来の役割に立ち返っていただきたいと切に願います。

教職員組合の大会で推薦決定!

教職員組合の大会で推薦決定!

来年の統一地方選に向け決意表明

子どもたちの学習環境改善や教職員の働き方改革の推進

「夜間中学校」の開設に向け取り組みます

大分県教職員組合の第171回定期大会が、7月15日と16日に大分県教育会館で開催されました。県下各地から代議員の先生方が集まり、今の学校現場の様子や子どもたちが抱えている問題、教職員の働き方について熱心な討論が行われました。

日頃から子どもたちと接し、共に勉強し生活している現場の先生方だけに、その議論は、今子どもや保護者や学校が抱えている困りや悩みを切実に表していて、同時にその解決の難しさを感じさせるものでした。日々忙しい中にもかかわらず、「子どもたちのため」と頑張っておられる組合員の先生方の団結と行動力と、そして熱い熱意に共感した大会でした。

 

さてこの大会では、来年度の春に行われる「統一地方選」について組織決定がありました。3年前に組合の推薦を受け県議に初当選しましたが、今回も再び推薦をいただくことができました。1期目は慣れない県議活動の中で、みなさんの期待に応える活動ができたのか不安な自分がいました。しかし今は違います。

決意表明の中で、県議になってこの3年間、現場の教職員と行政の教育委員会の認識の違いをたくさん感じるという話をしました。今、学校現場で何が1番の困りなのか、支援が必要な子どもたちをどうしていけばいいのか、人員不足をどうすればいいのか、「働き方改革」を実効あるものにし、学校をもっと魅力ある職場にするにはどうしたらいいのか、、、というようなことを教育委員会に突きつけ、時間をかけ解決の糸口を見つけていきたいです。

さらに今、県議会の県政連議員団は「夜間中学校」開設に向けた準備を行っています。これもすぐにはできないかもしれませんが、それだけにまた1期4年間取り組むべき大きな目標です。

この4年間に自分なりに積み上げてきたものを活かし、子ども、先生方、働く者の仲間、社会的立場の弱い人たちの側に立って政策活動を進める決意です。子どもたちみんなが笑顔になれる大分県政をめざしがんばろうと心も新たにした、気の引き締まる大会でした。ご支援、よろしくお願い致します。

 

 

教育現場を席巻する諸課題・諸問題

教育現場を席巻する諸課題・諸問題

子どもをめぐる教育的諸問題
<経済格差と学力格差><子どもへの虐待><ヤングケアラー><不登校や引きこもり><支援を要する子どもたちの増加><陰湿化するいじめ問題><夜間学校の設置>等など

教職員をめぐる諸問題
<人員不足><広域人事異動><低い賃金><進まない「働き方改革」><新たな研修制度><定年延長問題><上からの押し付け授業改革>等など

今、子どもたちや教育に携わる教職員を取り巻くいろいろな課題や問題点について、挙げてみました。全てを取り上げることができていませんが、ちょっと見ただけでも本当に多いですよね。なぜ、このように子どもたちや学校教育をめぐり、いろいろ問題が吹き出しているのでしょう。

原因はさまざまでしょう。生活様式が多様化してきたことや貧富の差が顕著になってきたこと。社会の歪みが、立場の弱い子どもに向けられていること。原因ははっきりとはわかりませんが、特別な支援を必要とする子どもたちが、考えられないほど増えていること。

先生たちも、自らの生活設計が立てにくくなるほど、追い込まれています。結婚・出産・子育てといった人生設計を考えなければならない時期に、広域人事でどこの学校へ異動させられるかわからない。そんな情報が若い学生たちに「大分県の若い教員は、どの学校に配置されるかわからない」と噂になり、大分県の教員採用試験の受験者数倍率は、とうとう1.00倍になってしまいました。

他県では、もうほとんどの教育委員会で廃止された、この人事異動ルールが大分県ではまだ活用されています。全国的にも教員の人員不足が言われています。教員として優秀な人材を得るためにも、教職員の働き方の改善は最も急務な出来事です。

エネルギー資源に乏しい日本という国では、人材が最も大事な資源といえます。その大事な資源を生かすも殺すも政策次第です。その意味で、政治家の役割はとてつもなく重要です。子どもたちやその保護者、そして教職員の皆さんが心やすらかに安心して、勉強や教育に打ち込むことができるよう、1議員としてできる限りのことに精一杯頑張りますので、今後ともよろしくお願い致いたします。

学校訪問を再開しました!

教育の現場、学校の今の状況を知りたい😊
学校訪問を再開しました!

~~おじゃまします!~~

コロナ前は行っていた学校訪問をやっと再開します。と思っていたら、またコロナ感染者が急増していますが、、、。今、子どもたちの様子はどうなのか?どのような状況に置かれているのか?先生方の働き方は改善されているのか?一番の困りは何か?

実際の現場の先生方にお話を伺わないと、やっぱりわからないところが多いのです。それぐらい、学校の中の様子というのは、外部には伝わりにくい。管理職の校長先生からお話を聞く機会もあるけれど、一方的なことしかお話ししてくれない。ちょっと都合の良くないこと、知られたくないことはお話ししてくれない。したがって誤解を生んだり、かえってよくわからなかったりする(管理職という立場上仕方ないのかもしれませんね)。

教員の多忙が報道されて、やっと教育委員会からも「働き方改革」という勇ましい“かけ声“だけは聞こえますが、現場の先生方からは「何も変わっちゃいない」という嘆き(?)しか聞こえてきません。

今、教育が抱える問題や課題を直接聞き取り、次の議会や政策へと活かしたいと思っています。また、訪問が終わり次第、課題や問題点をまとめご報告したいと考えています。

 

新たな教職員研修制度

新たな教職員研修制度
新たな負担増にならないか?
厳格化による管理にならないか?

来年度から始まる教職員の新たな研修制度について文科省は6月27日、ガイドライン案を中央教育審議会の特別部会に報告しました。新たな研修制度では、任命権者である教育委員会が教員ごとに研修履歴を記録し、校長がそれに基づいて今後の研修の受講を奨励するとしています。
今回のガイドライン案では、記録範囲の研修を◇教委の実施する研修◇免許法認定講習◇任命権者が認める研修などとしています。このうち任命権者が認める研修には、校内研修や研究、教員が自発的に参加した研修も含まれています。この自主的な研修については申告に基づき記録することが適当としています。
問題の一つとなるのが、研修の記録をつける作業が新たな負担にならないかということ。内容は、研修名や受講時期、主催者などの他、研修リポートなども挙げられていますが、過度な負担にならないよう簡素化することも求めています。教職員の働き方改革が思うように進まない中、記録方法も含めて負担増にならないシステム作りが必要です。
もう一つの問題点は、教員の管理につながりかねないと懸念される「研修の成果確認」です。研修記録に基づく「指導・助言」について、教員については人事評価を行う期首面談や期末面談で校長が実施することとし、校長に対しては、教育長らが面談し研修の受講を推奨することを定めています。
また、「期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合」の具体的対象者として、①合理的理由なく、法定研修や悉皆の研修に参加しない②勤務の支障がないにも関わらず、必要な校内研修に参加しない③ICTや特別支援など特定分野で資質向上の必要があるにも関わらず、資質向上に努めようとする姿勢が見受けられない、などの場合を例示しています。
また指導が不適切と認定されなくても課題があるとみられる教員には、改善すべき分野についての自己評価や学校管理職の評価の後、研修計画書を作成し研修の受講につなげるという対応策も示されています。
部会の中では、「研修の厳格化による管理システムと受け取られかねない」と表現の修正を求める声も上がったそうですが、なんのために誰のために行われる研修なのかをよくよく考えないと、まさに新たな管理システムになるだけになると思います。天下の愚策であった「教職員免許更新制度」の失敗をよくよく検証して、同じ過ちを犯さないように文科省には強くお願いをしたい。
また、なぜ今、教育職が敬遠され学校現場がひどい人手不足となっているのかしっかりと分析し、これ以上先生方の負担を増やすことのないように、文科省と教育委員会をしっかり監視していきたいです。
文科省では今後実施するパブリックコメント(意見公募手続き)の結果を踏まえ、今年の夏に正式なガイドラインを各教育委員会に通知をする段取りになっています。ぜひ、現場の先生方から多くのパブリックコメントをお寄せいただきたいと思います。

オミクロン株派生型、また流行の兆し?

オミクロン株派生型、また流行の兆し?
感染予防か、経済活動優先か?

残念なことに、またコロナが流行の兆しをみせています。一体いつになったら収束するのか?
7月9日には、大分県でも過去最多の新規感染者数となりました。600人越えは初めてです。感染力の強いオミクロン株の派生型が流行の兆しであることや、感染しても重症化しないといわれ、やや皆さんの心に緩みもでてきているのか。慣れとストレスが限界にあることも一因にあるでしょうね。
せっかく、いろいろな行事や催しが再開され始めた矢先なのに、、、、。特に、学校や小さな子どもたちやお年寄りがいる福祉施設で、クラスターが発生しているのが気がかり。これから、夏休みを迎え移動が多くなるのも心配です。
感染予防のため移動を控えるか、または予防策をとった上で経済活動を優先するか。疲弊した市場を少しでも元気づけるために、感染予防には緩みがないようにして、ある程度は日常生活を取り戻さないとやっていけないですよね。
でも、今年も夏は暑い。いや、昨年以上に暑い。熱中症の患者が例年以上に多いとか、、、。常時マスクち着用も厳しい。感染経路が「家族間」がもっとも多いとなると、予防もなかなか難しいですね。とにかく、基本的な予防対策だけはしっかりと行うように心がけています。
今後、いわゆる「第7波」につながらないように、常時注視していきたと思います。

PCR等検査実施結果(令和4年7月9日15時00分更新)
本日の検査数
4,479人
陽性
641人
【参考】検査数(累計)
641,392人
新規感染者数は、昨日に続いて過去最多となりました。また、人口10万人あたりの新規感染者数も、4/13の275.62人を上回り、過去最多です。

県内で療養中の60代の方が亡くなられました。167例目の死亡です。心よりお悔やみ申し上げます。持病がありましたが、死亡日時等を含め、詳細についての公表は控えさせていただきます。

第2回定例会一般質問に立ちました

―福祉保健・教育・平和にしぼって質問しましたー

一 今後の認知症政策について
【問】今後は、高齢者のうち認知症の方が占める割合が5人に1人以上になると推計されている。認知症は誰もが関わる可能性がある。臼杵市は2021年9月に認知症に関する条例を制定した。県でも「認知症フレンドリー社会」の実現をめざして、条例制定を含めた取り組みを進めるべき。今後の認知症政策について知事の見解を伺う。
【知事】認知症は、誰もがなりうるものであり、認知症の方とその家族が住み慣れた地域で自分らしく暮らせる社会を実現していかなければならない。臼杵市が制定した認知症条例は、共生のまちづくりを加速するものと大いに期待するところ。県においても、おおいた高齢者いきいきプランの基本方針の一つに認知症施策の推進を掲げ、認知症への理解を深める普及啓発と社会参加の促進、認知症予防やセルフチェック等の積極的活用を促している。これらの取り組みの進展を見てから条例化等について検討したい。

二 日出生台米軍実弾射撃訓練について
【問】今回の米軍実弾射撃訓練は、実施時期の変更、訓練公開の一方的中止、地元住民への説明会に米軍側が欠席するなど、今後に大きな不安を残した。また実弾射撃数も最多なうえ、訓練後に米兵が自由に外出するなど治安面でも問題を残した。日出生地区は、米軍訓練に伴って導入された国の住宅移転補償措置によって、この20年で人口が半分になった。小学校も休校となり、今後ますます過疎化が進む。地域を守り訓練拡大をさせないため、どう取り組むつもりか知事に伺う。
【知事】日出生台演習場での米軍実弾射撃訓練は、沖縄基地負担軽減のため、苦渋の決断で受け入れたもの。今回は、訓練規模は大きかったが、人員数、砲門数及び車両数、訓練日数や時間等は協定の範囲内。事故や事件の報告もなく終了した。事前説明会への欠席や訓練公開の中止は強く抗議した。米軍外出については、九州防衛局に治安・安全対策に責任をもって対応するよう文書で要請した。県の基本スタンスは、将来にわたっての訓練の縮小・廃止であり変わりはない。

三 子どもの難病・がん対策を巡る諸課題について
(1)「付き添い入院」について
【問】小さな子どもが難病などで入院する場合、家族が「付き添い入院」するケースが多い。付き添いも残った家族も多くの不便を強いられている。県は、子どもの付き添い入院に係る家族負担の現状をどう把握し、どのような支援が必要と考えるか福祉保健部長に伺う。
【福祉保健部長】付き添い入院の際の困りごととして、宿泊費用や宿泊先の確保、きょうだい児の世話に関することがあげられている。大分大学医学部付属病院は安価で宿泊できるファミリーハウスが運営されている。県立病院では、簡易ベッドの無料貸し出しや家族控室を利用できる体制を確保している。九州大学病院では3か所のファミリーハウスが運営されている。今後も、情報をしっかり届け安心して治療に臨める環境づくりに努める。

家族が宿泊できるファミリーハウスについては、福岡市に1施設あります。答弁にあったファミリーハウスについては、その場所や規模や運営について調査していないので、今後の調査や聞き取りが必要だと思います。家族の精神的・経済的負担の軽減のためハウスの必要性を訴え、一日も早い設置検討を要望しました。

(2)教職員の休暇制度について
【問】ある学校の先生のお子さんが長期入院したが、市教育委員会は介護休暇の要件に該当しないと認めなかった。その方は、半年近く勤務先と病院を朝夕往復した。教職員が過度に疲労していては、子どもたちに十分に向き合うのは困難。介護休暇の運用を見直すなど柔軟に対応できないか教育長に伺う。
【教育長】介護休暇の対象は、介護対象者の食事や排せつ、リハビリの介助といった直接介護で、子どもを含め入院中の付き添いは全国的にも介護休暇の対象とされていない。現在、介護や育児と仕事の両立に向け、国レベルの法制度の見直しがされているので注視したい。
(3)子宮頸がんワクチン接種の積極的勧奨の再開について
【問】子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)は持続的副作用から、これまで積極的推奨は差し控えられてきたが、今年4月から再開された。「適切な情報提供」はなされているのか。また、学校現場を通したワクチン接種の勧奨は保護者に誤解を与える。希望制の趣旨を徹底するなどHPVワクチン接種再開に対する県の取り組みを伺う。
【福祉保健部長】県内では平成30年に123人が罹患し死亡者は25人。副反応疑いは8件報告されているが、健康被害と認定されたものはない。最新の知見では1万人のうち約70人の発症を予防し約20人の命が救われると試算。一方、副反応の頻度は1万人あたり重篤者6人と、接種の有効性がリスクを上回っていると勧奨が再開された。予防接種は学校を経由することなく、市町村から対象者に直接正確な情報提供に努めている。

四 多様性を認め合う教育の推進について
(1)県立高等学校の制服について
【問】学校現場の〝当たり前〟が見直されている。制服もその一つ。県立高校の制服もブレザーや女子もスラックスを選択できる学校が増えている。さらに一歩踏み込んで、制服と私服のどちらも選択できるようにしてはどうか。生徒や保護者の意見や要望を尊重した上で、学校で判断するのが望ましいと思うが教育長の見解を伺う。
【教育長】全日制の高校でも学校行事の際に制服以外の服装を許可している場合がある。女子の制服は、スカートに加えスラックスも選択できる学校が27校、今後の導入を検討している学校が10校ある。昨年度、高等学校では生徒と学校が校則の様々な項目について意見を交わし、29校が校則の見直しを行った。私服登校の許可についても、生徒の実情や時代の進展等を踏まえ、学校と生徒、保護者が話し合っていくことが大切だ。
(2)特別支援教育について
【問】特別支援を必要とする子どもたちが増えている。昨年の教育長の答弁以降、子どもたちへの教育的支援の状況(特別支援学級は必要数を満たしているか、専門性を身につけた教職員は足りているか)はどのように改善されたか、また支援の充実に向け具体的にどう取り組むか、教育長の見解を伺う。
【教育長】小中学校の特別支援学級は5月現在で745学級設置。5年間で183学級増。学級数の増加に伴い、特別支援教育未経験者が担任するケースが増加し、今年度は177人、23・5%となっており、早急に専門性を高める必要がある。「特別支援学級経営の手引き」の活用を市町村教委に促すとともに、特別支援学校のコーディネーターの巡回相談や教育センターでの研修を実施してきた。子どもたちのニーズにきめ細かに対応できるよう研修内容や方法を改善し、特別支援学級担当者等の専門性の向上を図る。

2022年第2回定例会の報告

物価高対策に50億円の補正予算

2022年の第2回定例会(6月県議会)が、6月14日から29日までの16日間の会期で開会されました。今回は、物価高対策として、私立幼児教育・保育施設の給食費や公共交通機関の運行経費などに、幅広く支援するとしています。

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今回の一般会計補正予算は、原油高や物価の高騰で生活に困窮する県民や中小事業者への支援策が盛り込まれています。財源は国の支出金が50億1667万円で、県の基金から2407万4千円を繰り入れるなどして、補正総額は50憶4874万4千円。
主なものとして、「生活福祉資金貸付事業」に1億1719万5千円。これは、物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援するため、緊急小口資金等の特例貸付を実施するための貸付原資等の補助です。また、食材費が高騰する中、給食費等の値上げの抑制と保護者の経済的負担軽減のため食材費増加分を支援するための「給食等負担軽減緊急支援関連事業」に9658万円。感染症や物価高騰の影響を受け家計が急変した世帯を支える「高等学校授業料支援関連事業」に1523万9千円を当てます。
その他にも、コロナ禍と燃料費高騰で厳しい経営状況の地域公共交通事業者への支援として、乗合バス等の運行に必要な経費の助成を行う「地域公共交通燃料高騰緊急支援事業」や、燃油価格高騰下での園芸農家の経営安定のため省エネ機器導入の支援拡充を行う「施設園芸燃油価格高騰緊急対策事業」、また輸入に依存する小麦の生産拡大を図るための団地化や営農技術・機械の導入支援のための「小麦産地生産性向上緊急対策事業」など、幅広く対応できる補正予算となっています。

◎主な補正事業の内容
生活者支援に関する事業
<生活福祉資金貸付事業> 1億1,719万5千円
緊急小口資金等の特例貸付を実施する県社協へ貸付原資等の補助。
・緊急小口資金(回数1回) 上限20万円以内 無利子
・総合支援資金(期間原則3か月以内)月20万円以内(2人以上)
月15万円以内(単身) 無利子
<生活困窮者自立支援事業> 806万2千円
物価高騰等に直面する生活困窮者等の生計等の維持を図るため支援金を支給。
・支給額 単身世帯 6万円、2人世帯 8万円 3人以上世帯 10万円
<給食等負担軽減緊急支援関連事業> 9,658万円
給食費等の値上げを抑制し保護者の負担軽減のため、学校等に食材費増加分を支援。
・私立幼児教育・保育施設(638施設) 私立小学校(1校)
・県立特別支援学校、定時制高等学校(14校) 子ども食堂(89施設)
<高等学校授業料支援関連事業> 1,523万9千円
保護者の経済的負担軽減のため家計急変した世帯に授業料支援を実施。
・高等学校 世帯年収590万円未満となる家計急変世帯
・高等学校専攻科 世帯年収380万円未満となる家計急変世帯事業者支援に関する事業
<物価高騰対応中小企業等業務改善支援事業> 8億2,800万円
物価上昇の中で生産性を向上させ賃金を引き上げる中小企業等を支援。
<地域公共交通燃料高騰緊急支援事業> 1億7,991万6千円
燃料費高騰により厳しい経営状況にある地域公共交通事業者の事業継続を支援するため、乗合バス等の運行に必要な経費を助成。
<施設園芸燃油価格高騰緊急対策事業> 2億円
燃油価格高騰下における施設園芸農家の経営安定を図るため、省エネ機器(ヒートポンプ、多重被覆等)導入への支援を拡充。
<小麦産地生産性向上緊急対策事業> 3,800万円
輸入に依存している小麦の生産拡大を図るため、団地化や営農技術・機械の導入等を支援。