ヤングケアラーフォーラム参加

ヤングケアラーフォーラム参加
〜私たちおとなができることは?〜

「ヤングケアラー」。その言葉を聞いたことがある方は、今増えているのではないでしょうか?厚生労働省のHPによると、「ヤングケアラーとは、法令上の定義はありませんが、一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的におこなっている子どもとされています」とあります。保護者が担うべき家庭のいろいろな仕事や世話を、子どもたちがやっている。
これまで見過ごされてきた問題が、家の世話で学校に行けなくなった子どもたちの実態が社会問題化する中で、ようやく何とかしようと行政も支援を考えだしました。

大分県の福祉保健部こども・家庭支援課と大分県教育委員会が主催で開かれた、初の「ヤングケアラーフォーラム」。お話しを聞きに大分市内まで行ってきました。
まず、一般社団法人Omoshiroの勝呂ちひろ代表理事と同じく青木大三理事から「親子まるっと伴走支援について」と題して基調講演がありました。
心に残ったお話を箇条書きに並べてみます。
①ヤングケアラーの子どもは家族の世話をするのが〝当たり前〟なので、「困っていることはない?」と聞いても、何が困っているかわからない
②保護者が相談しない。社会から孤立している
③情報収集が継続的に行われていないため、誰も親子の生活ぶりを知らない
④だから、親子まるっと伴走支援なんだ。出会いから継続的に他につなぐまで。
「成人式の時に、笑って会えるのが目標。だから、ずっと伴走(支援)していく」という勝呂さんの言葉が印象的でした。
 また、「子どもの権利条約」4つの柱(生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利)を挙げ、「大人が子どもの権利をきちんと守っていくことが前提だ」と述べました。さらに、「ヤングケアラーの子どもに、それはおかしいよと言っても、どうしていいかわからない。『困っていることはない?』ではなく『心配していることはない?』と聞く方がいい」と指摘しました。
誰しもがケアを担う時代です。しかし、ケアはつながりを生みます。1つのケースのつながりが、次のケースにつながるといいます。「自分のケアと自分の大事な人のケア。大人も子どもも一緒になって大事に考えられる社会をめざす」として、お話を結びました。

続いて、パネルディスカッションがありました。コーディネーターは相澤仁・大分大学福祉健康科学部教授、他に先ほどの勝呂ちひろ代表理事と青木大三理事、それに後藤みか・津久見市教委スクールソーシャルワーカー(SSW)、厚労省の内尾彰宏・子ども家庭局室長補佐の5人の方々。「ヤングケアラーへの支援について」というテーマで、それぞれの立場からご意見を伺いました。
津久見市教委のSSWである後藤さんは、具体的事例として高校1年生の男子の例を挙げました。彼が「家事負担が増えた」と愚痴をこぼしたことを友人が聞き、学校や友人(同級生)が支援したことを紹介。「一番の支援者は口に気づいた友人。学校と同級生がいたことが大きな支えになった」と述べました。青木さんも「ポイントは友だち。関係がよかった。困り事を相談できる環境づくりが大切だ」と指摘しました。
また内尾さんは、「気づきが大切。友人から先生へというネットワークを作っていくこと」の重要性を強調。勝呂さんも「相談ではなく愚痴や雑談など、何気ない会話からが大切」と、何がない言葉にその子の本音があると訴えました。
内尾さんは「相談窓口を作っている自治体は増えたが、相談に来る人は少ない。どうして来ないのか?福祉という行政の支援を嫌がる家庭がある」と、家庭(親)とつながる難しさを吐露。勝呂さんから「閉ざしているのは母親。ある母親は電話が恐いと。子育ての失敗を責められると思っている」と述べ、周りがその家庭を「困った家族」と批判し、本人たちの責任にしてしまっているが、「困っている家族」という視点で何が支援できるか考えないといけないことを訴えました。
最後に、相澤さんは「友だち、行政、いろんなアンテナを立てて、気づきつながる必要がある。家族からの発信はハードルが高い。何か変化があれば、地域からサポートを受けるのは〝当たり前〟という啓発をしないと。家族全体のサポートが必要な時。今ある精度を十分活用しながら、この問題にアプローチしていくことが大事だ」とまとめ、本フォーラムを閉じました。

やや参加者が少ないような気がしました。フォーラムがあること自体を知らない県民の方も多いのではと感じてしまいました。私も新聞か何かで(はっきり覚えていないのですが)知り、申し込んだような気がします。将来を担う子どもたちが置かれた大変な状況。もっと宣伝して、県民のみなさんに参加していただきたかった。
あと、ヤングケアラーの子どもたちの様子や対応についての具体的事例の紹介が少なかったように感じました。子どもたちはどんな状況なのか、学校や行政はどう支援しているのか。私たちおとなが今やらなければならないこと、今できることは何かをみんなで考えていく時ではないか、と強く感じました。