2021年第3回定例会報告 一般質問に立ちました

第3回定例会でコロナ対策費補正予算74億3159万円計上

ホーバークラフト発着用地取得とマリンカルチャーセンター解体に伴う設置条例の廃止など28議案を上程

県議会第3回定例会が、9月8日から28日までの21日間の会期で開会しました。今回は、県独自のコロナ感染症対策が9月26日まで延長されたことによる、飲食店やその関連事業者への支援金延長のための補正予算が上程されました。

その他、大分空港へのアクセスのためのホーバークラフト3隻とその発着用地取得のための予算や佐伯市のマリンカルチャーセンターの解体とそれに伴う設置・管理条例の廃止、また男女混浴制限年齢を6歳に引き下げる公衆浴場法施行条例の一部改正など28議案がそれぞれ審議されました。

2021年第3回定例会報告 一般質問に立ちました

第3回定例会の代表質問が14日、一般質問が15日から17日の3日間行われました。

私は15日(1日目)の2番手に質問に立たせてもらいました。デルタ株が猛威を振るう新型コロナ感染対策や通学路の安全対策、発達障がいが疑われる子どもたちへの支援についてなど、大きく4項目について県の見解を質しました。

1 新型コロナ感染症の対策と支援

(1)子どもの感染防止対策

(質)感染拡大しているデルタ株は、子どもにも感染しやすい。夏休みが終わり、子どもの感染拡大が心配される。ワクチン接種対象でない12歳未満の子どもたちの感染防止対策は?

(知事)児童・幼児等の感染者数はおよそ10%。子どもの感染予防のためには、①学校や幼稚園等での感染対策の徹底をお願いしている。体調が悪い時は躊躇なく休むよう呼びかけ。②教員などの感染予防は8月末までにワクチン接種を完了。③万一感染が確認されたら、速やかに接触者を特定し、幅広なPCR検査を実施。クラスターの早期封じ込めに成功してきた。安全・安心な学びの場を提供できるよう、全力で取り組む。

(2)クラスター発生時の子どもの預け先

(質)子どもを預けている施設で感染者やクラスターが出ると、施設が休みになり預け先がなくなる。子どもたちを一時的に預かることができる場を早急に設置すべきでは?

(福祉保健部長)保育所等が臨時休園となった場合は、市町村が相談窓口となり代替保育施設を紹介するなど、保護者に寄り添った対応を行っている。放課後児童クラブも同様、ファミリーサポートセンター等の紹介や学校の空き教室での預かりなど学校と連携した取り組みや、一人親家庭も含め、夜間の預け先が必要な場合、市町村が実施するショートステイやトワイライトステイも利用してもらっている。

(3)九州各県との広域搬送の連携

(質)今後、九州内でも県境を越えて感染者の治療に当たることができる医療機関を探し、県外に搬送しなければならない事態の発生も想定される。他県との広域搬送の関わる連携強化を図るべきでは?

(福祉保健部長)県内で療養できる体制の整備に努めている。一方ECMO(人工心肺)を必要とするような重症患者については、九州各県とも対応可能な医療機関や医療従事者は限られており、広域連携が重要。昨年12月に「九州・山口9県ECMO広域利用等に関する協定」を締結し、広域での患者の受け入れや医師や看護師等の派遣などについて協力体制を構築している。

2 リモートワーク環境整備と企業誘致

(質)コロナ禍でリモートワークが普及し、地方移住への機運も高まっている。東京圏在住者で地方移住に関心がある人は、33・2%と2019年調査に比べ8・1ポイント上昇している。移住しても仕事内容は変えずに同じように仕事ができる環境が整えば、本県に移住したいと思う人も増えてくるのではないか。併せて本県の良さをPRし、企業誘致の積極的な働きかけを行うべき。地方移住促進の起爆剤としてリモートワーク環境の整備と企業誘致にどのように取り組むか?

(知事)昨年度まで4年連続で移住者が千人を超えた。さらに加速させるためにもコロナ禍で生じた新しい人の流れに着目し、都市部で働く社員の移住につながる「人の誘致」に取り組んでいる。一つは、受け皿となる施設の環境整備。市町村とともにコワーキング施設整備を進めている。二つ目は、社員の移住を推進する企業側への支援。出張費用の一部を助成する制度を創設した。今年3月に富士通株式会社と移住等に関する連携協定を締結し、これまでに9人の社員とその家族の移住が実現した。本社機能移転もこれを促進するため、雇用や転勤を奨励する補助制度を創設。これまで、本社機能の一部である研究開発部門など3件の移転等につながっている。

3 通学路の安全確保と交通違反の取締り

(1)通学路の安全確保

(質)子どもたちの痛ましい交通事故が絶えない。子どもたちが通う通学路には、悪条件がそろった場所が数多くある。特に下校中の事故が多いと統計でも出ている。「抜け道」として利用される通学路は、下校時間に合わせ、「進入禁止」や「30キロ速度制限」など対策を早期に取る必要があるのでは?

(警察本部長)警察では、通学路の交通実態に応じ、通行禁止規制により通行車両の減少対策や一定区域内を低速度とするゾーン30規制など安全対策を行っている。今後は、速度低下を促すハンプや狭さくといった物理的デバイスの設置など、人優先の安全・安心な通行空間の整備に向け道路管理者と協議・連携する。

(2)交通違反の取締り強化

(質)いまだに飲酒運転に絡む交通事故が絶えない。また最近の傾向として、携帯電話を操作しながら運転する「ながら運転」もよく目にする。撲滅に向けては、まず取り締まりの強化と職場に出向いての定期的な研修会など、自覚を促すような啓発活動の工夫も必要ではないか?

(警察本部長)本県の飲酒運転による事故発生件数は2006年108件、昨年は29件と約4分の1になった。携帯電話使用違反は、交通事故発生件数は2019年20件、昨年が7件と約3分の1に減少。これは厳罰化や行政処分の強化に加え、関係機関・団体と啓発活動に取り組んだ結果だ。今後も引き続き交通指導取締りを強化するとともに、研修会などに加えSNS等を利用した広報啓発を実施していく。

4 教育現場の課題

(1)発達障がいが疑われる子どもたちへの支援

(質)現在、特別支援学級に在籍する子どもは2012年の325人から2017年は775人に増加し、発達障がいの子どもを対象とした通級指導教室利用者も12年の140人から17年は334人になるなど、年々増加傾向にある。発達障がいが疑われる子どもたちも増えていると実感している。そのような子どもたちへの対応は、障がいのあるこどもたちの支援と同様に深い知識と理解、愛情がなければならない。支援の必要な子は「困った子」ではなく「困りをもった子」。教職員の知識と理解とともに支援を補助する人手がいる。教職員への研修とその時間的なゆとり、支援を行う人員の確保が必要では?

(教育長)小中学校の特別な教育的支援を必要な児童生徒は、昨年の調査で通常学級に訳7000名在籍している。4年間で1500名以上増加。昨年度から個別の指導計画推進教員8名が小中学校を訪問し、合理的配慮の提供等について現場の教員を支援。市町村でも、今年度特別支援教育支援員を訳600名配置するなど、人員確保に努めている。研修では、「特別支援学級担当研修」等8講座を開講し、延べ643名が受講。4講座はWEB研修を取り入れ、移動時間の縮減など負担軽減を図った。

(2)過酷な労働環境

(質)教育委員会としても、働き方の改善に取り組んできたと思うが、現場は業務量削減の実感はない。教職員の勤務は自宅への「持ち帰り業務」が多いことも知られている。「持ち帰り業務」も含めた過酷ともいえる教育現場の正確な実態把握と対策に向け、労使一体となった取り組みが急務。これまでの取り組みの総括は?

(教育長)県教委では、「学校現場の負担軽減PT」や労使協議の場である「教職員勤務実態改善検討会」で、負担軽減に向けた取り組みを進め改善を図ってきた。研修・会議や調査文書の削減・精選をはじめ、部活指導員の配置、適切な休養日等を設定した部活動方針の策定、産休代替者の早期配置等、現場環境の改善に努めてきた。タイムレコーダーやPCログ等により、勤務実態の客観的な把握を進めている。しかしながら、県立・市町村立学校ともに依然として長時間労働勤務者や持ち帰り業務が存在することは課題である。

(3)教員志望者の確保策

(質)教員志願者数が減少している。大分県もここ5年から6年で大きく落ち込んで採用倍率は1.4倍になっている。原因の一つは、厳しい労働環境。もう一つは、賃金がそれに見合っていないということ。県として採用倍率低下にどう歯止めをかけるのか、志願者が減る要因を踏まえた独自の確保策は?

(教育長)選考試験については、併願制度の導入や受験年齢制限の緩和、他県で教諭経験者への第2次試験までの免除など受験しやすい環境づくりを行ってきた。子どもの減少により、大学の教育学部の定員が半数になり大量退職も続き、全国的に受験者の確保が厳しい状況。今年度、オンラインによる説明会を10回開催し、全国の大学生555人が参加。質問にはすべてに丁寧に説明。今年度は、志願者のうち新卒者が54名増加するなど成果も見られる。県内高校生を対象とした「キャリアフォーラム」でも、教職の魅力を伝える広報活動も実施した。