県南豊肥地区新型コロナ対策研究チーム その③

県南豊肥地区新型コロナ対策研究チームをつくり、コロナ禍の各自治体や教育現場の困りについて調査・研究をしています  その③

大分県でも7月29日現在、新規感染者が二ケタ台になり、デルタ株が疑われる感染者が増えています。首都圏の都市部では1日の感染者が3000人近くになっており、地方へ拡大が懸念されています。大分県でも、早急に実態をつかみ対応をしなければならない時が来ています。

7月20日(火)
豊後大野市における新型コロナウイルス対策についての調査
豊後大野市教育委員会 10時~10時40分

調査も今回が3回目。今回は玉田議員の地元、豊後大野市。私と玉田議員と成迫議員、平岩特別委員会委員長に、今回は春野市議と原田市議の二人に同行していただきました。
最初にお話を伺ったのは市教育委員会。中城学校教育課長と渡辺指導主事に対応していただきました。
豊後大野市では、教職員のワクチン接種を市が設置するサテライト接種会場で集中的に行います。当初は、接種する人の名簿を提出するよう要請されていたそうですが、人数のみに変更されました。要望として、ワクチン接種が現場に任されているが、県教委からもう少し支援が欲しいことや、部活動について中体連などで統一的な対応が必要なことなどがあげられました。
すごいなと感じたのは、市独自に小中学校のコロナガイドラインを作成したり、感染発生時の対応マニュアルを作成したりしているということです。コロナ当初の物品が不足した状況からは解消されて落ち着いているそうですが、学校の消毒作業について、部活終了後に部室消毒を実施するため、夜遅くなるなどの実態が示されました。また、中体連の大会の参加する場合、検査キットが必要だが、高校は県教委が対応するが小中学生の対応が不透明との不安が出されました。

奥のお二人が、
中城学校教育課長(右)と
渡辺指導主事(その左)。
お忙しい中、ご対応いただき、
ありがとうございました。

 

市民生活課・健康推進室 10時40分~11時20分

次に、市民生活課の波多野課長と戸上参事から、ワクチン接種の状況や課題についてお話を伺いました。ワクチン接種自体は、今は順調に進んでいるようです。市内21医療機関で個別接種を実施中で、今後現役世代が対象になれば、土日接種を行うため集団接種会場を設置する予定だそうです。また、三重町に医療機関が集中しており、朝地町に接種できる場所がなく不便だったので、病院にお願いして集団接種を可能にしました。
 ただ、担当職員は国の方針が変更するたびに事務量が半端なくなり、超勤が多いということでした。業務内容を他職にも分担してもらったが、メインの職員はそれでも超勤が多いままです。またワクチン配送計画が不透明で、供給量は予定の3分の1。予約キャンセルはないものの、9月末までに終える予定が10月末に延びる予定だということでした。「情報がほとんどないのが不安」と、これまでと同様に言っており、正確で早い情報の伝達の必要性をここでも強く感じました。

子育て支援課 11時20分~12時

子育て支援課では、「一人親世帯」の状況をお聞きしました。実態調査によれば、コロナ禍で大きく収入が減少したのが13世帯、多少減ったのが52世帯と、あわせて65世帯に影響がありました。回答してくれた世帯の約26.2%にあたり、やはりほぼ母子家庭だそうです。今回のコロナ禍が女性により多くの負担をかけています。一人親世帯のほぼすべてに給付金を給付できたそうです。
困窮家庭には、子ども食堂に委託して食事を配布。2020年は60回2,000食。2021年は100回3,500食を予定しているそうです。
要望としては、ヤングケアラーの実態調査と対策、医療的ケアの必要な子どもの受け入れ態勢づくり、保育士等の人材確保、保育所等のクラスター発生時の臨時経費の財政支援が出されました。どれもすぐには難しい課題ですが、早急に改善等していかなければならない問題です。

 

ここのね自由な学校 13時~14時

お昼ご飯の後、午後は「フリースクール」を見せていただきました。
山下浩二代表が温かく出迎えてくれました。2021年3月までの2年刊はほぼ無給で、今年4月からつく4万2千円の月謝をもらうようになったそうです。経営は大変ですが、それでも以前より「売り上げ」は上がっているだろうということで、補償は何もないそうです。
通っている子どもたちは10人。うち県外から長い時間をかけて通っている子が1人いるそうです。山下さんは、「フリースクールというものが、まだよく社会的に理解されていない。学校に行かない子=問題児という認識がまだ強い」と言っていました。「不登校を助長している」と言われたこともあるそうです。
現在は「教育」をメインにおいて、福祉的要素より学校的要素が強くなっているそうです。本人や保護者に確認してうえで、6~7割は学校をつながっており、毎日の様子を学校に報告しています。「学校に戻そうというのではない。フリースクールは、公立学校へ戻るまでの一時的なものではない」と言います。
コロナ禍でなくても、「多様な学び」が保障される社会になることは、子どもたちにも大人たちにとっても、生きやすい素敵な社会と言えます。

代表の山下さんからお話を伺いました。部屋にいた子どもたちも楽しそうに過ごしていました。

 

紫雲会 14時30分~15時30分

最後にお伺いしたのは、社会福祉法人「紫雲会」。渡邊理事長、羽田事務局長、特別養護老人ホーム紫雲荘の安達施設長、盲養護老人ホーム三国寮の衞藤施設長さんらが対応してくださいました。
高齢者が多い施設(紫雲荘利用者の平均年齢が90歳代、三国寮利用者の平均年齢が80歳代)なので、このコロナ禍では気を遣うことだらけで、本当に大変だろうなと思います。その中で、多くの利用者の大半がワクチン接種を終えられていましたが、要望で出たのが「ワクチン接種が進む中で、これまでかけていた規制を緩和していくことになるが、どのタイミングでどのように緩和していけばいいのか、基準や指針を示してほしい」というものでした。施設等の実態に合わせた目安がほしいということでした。また、感染者が出た時の対応マニュアルを作成しているが、ワクチン接種をしていない前提の対応と接種が進んだ段階での対応マニュアルは同じでいいのか疑問」という問いかけもありました。
残念ながら、私たちでは曖昧にしかお答えできませんでした。申し訳ありませんでした。大人数のいる施設なりの大きな問題があることに気づかされました。

お忙しい中、親切にご対応していただきましたみなさん、
本当にありがとうございました。