―福祉保健・教育・平和にしぼって質問しましたー
一 今後の認知症政策について
【問】今後は、高齢者のうち認知症の方が占める割合が5人に1人以上になると推計されている。認知症は誰もが関わる可能性がある。臼杵市は2021年9月に認知症に関する条例を制定した。県でも「認知症フレンドリー社会」の実現をめざして、条例制定を含めた取り組みを進めるべき。今後の認知症政策について知事の見解を伺う。
【知事】認知症は、誰もがなりうるものであり、認知症の方とその家族が住み慣れた地域で自分らしく暮らせる社会を実現していかなければならない。臼杵市が制定した認知症条例は、共生のまちづくりを加速するものと大いに期待するところ。県においても、おおいた高齢者いきいきプランの基本方針の一つに認知症施策の推進を掲げ、認知症への理解を深める普及啓発と社会参加の促進、認知症予防やセルフチェック等の積極的活用を促している。これらの取り組みの進展を見てから条例化等について検討したい。
二 日出生台米軍実弾射撃訓練について
【問】今回の米軍実弾射撃訓練は、実施時期の変更、訓練公開の一方的中止、地元住民への説明会に米軍側が欠席するなど、今後に大きな不安を残した。また実弾射撃数も最多なうえ、訓練後に米兵が自由に外出するなど治安面でも問題を残した。日出生地区は、米軍訓練に伴って導入された国の住宅移転補償措置によって、この20年で人口が半分になった。小学校も休校となり、今後ますます過疎化が進む。地域を守り訓練拡大をさせないため、どう取り組むつもりか知事に伺う。
【知事】日出生台演習場での米軍実弾射撃訓練は、沖縄基地負担軽減のため、苦渋の決断で受け入れたもの。今回は、訓練規模は大きかったが、人員数、砲門数及び車両数、訓練日数や時間等は協定の範囲内。事故や事件の報告もなく終了した。事前説明会への欠席や訓練公開の中止は強く抗議した。米軍外出については、九州防衛局に治安・安全対策に責任をもって対応するよう文書で要請した。県の基本スタンスは、将来にわたっての訓練の縮小・廃止であり変わりはない。
三 子どもの難病・がん対策を巡る諸課題について
(1)「付き添い入院」について
【問】小さな子どもが難病などで入院する場合、家族が「付き添い入院」するケースが多い。付き添いも残った家族も多くの不便を強いられている。県は、子どもの付き添い入院に係る家族負担の現状をどう把握し、どのような支援が必要と考えるか福祉保健部長に伺う。
【福祉保健部長】付き添い入院の際の困りごととして、宿泊費用や宿泊先の確保、きょうだい児の世話に関することがあげられている。大分大学医学部付属病院は安価で宿泊できるファミリーハウスが運営されている。県立病院では、簡易ベッドの無料貸し出しや家族控室を利用できる体制を確保している。九州大学病院では3か所のファミリーハウスが運営されている。今後も、情報をしっかり届け安心して治療に臨める環境づくりに努める。
家族が宿泊できるファミリーハウスについては、福岡市に1施設あります。答弁にあったファミリーハウスについては、その場所や規模や運営について調査していないので、今後の調査や聞き取りが必要だと思います。家族の精神的・経済的負担の軽減のためハウスの必要性を訴え、一日も早い設置検討を要望しました。 |
(2)教職員の休暇制度について
【問】ある学校の先生のお子さんが長期入院したが、市教育委員会は介護休暇の要件に該当しないと認めなかった。その方は、半年近く勤務先と病院を朝夕往復した。教職員が過度に疲労していては、子どもたちに十分に向き合うのは困難。介護休暇の運用を見直すなど柔軟に対応できないか教育長に伺う。
【教育長】介護休暇の対象は、介護対象者の食事や排せつ、リハビリの介助といった直接介護で、子どもを含め入院中の付き添いは全国的にも介護休暇の対象とされていない。現在、介護や育児と仕事の両立に向け、国レベルの法制度の見直しがされているので注視したい。
(3)子宮頸がんワクチン接種の積極的勧奨の再開について
【問】子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)は持続的副作用から、これまで積極的推奨は差し控えられてきたが、今年4月から再開された。「適切な情報提供」はなされているのか。また、学校現場を通したワクチン接種の勧奨は保護者に誤解を与える。希望制の趣旨を徹底するなどHPVワクチン接種再開に対する県の取り組みを伺う。
【福祉保健部長】県内では平成30年に123人が罹患し死亡者は25人。副反応疑いは8件報告されているが、健康被害と認定されたものはない。最新の知見では1万人のうち約70人の発症を予防し約20人の命が救われると試算。一方、副反応の頻度は1万人あたり重篤者6人と、接種の有効性がリスクを上回っていると勧奨が再開された。予防接種は学校を経由することなく、市町村から対象者に直接正確な情報提供に努めている。
四 多様性を認め合う教育の推進について
(1)県立高等学校の制服について
【問】学校現場の〝当たり前〟が見直されている。制服もその一つ。県立高校の制服もブレザーや女子もスラックスを選択できる学校が増えている。さらに一歩踏み込んで、制服と私服のどちらも選択できるようにしてはどうか。生徒や保護者の意見や要望を尊重した上で、学校で判断するのが望ましいと思うが教育長の見解を伺う。
【教育長】全日制の高校でも学校行事の際に制服以外の服装を許可している場合がある。女子の制服は、スカートに加えスラックスも選択できる学校が27校、今後の導入を検討している学校が10校ある。昨年度、高等学校では生徒と学校が校則の様々な項目について意見を交わし、29校が校則の見直しを行った。私服登校の許可についても、生徒の実情や時代の進展等を踏まえ、学校と生徒、保護者が話し合っていくことが大切だ。
(2)特別支援教育について
【問】特別支援を必要とする子どもたちが増えている。昨年の教育長の答弁以降、子どもたちへの教育的支援の状況(特別支援学級は必要数を満たしているか、専門性を身につけた教職員は足りているか)はどのように改善されたか、また支援の充実に向け具体的にどう取り組むか、教育長の見解を伺う。
【教育長】小中学校の特別支援学級は5月現在で745学級設置。5年間で183学級増。学級数の増加に伴い、特別支援教育未経験者が担任するケースが増加し、今年度は177人、23・5%となっており、早急に専門性を高める必要がある。「特別支援学級経営の手引き」の活用を市町村教委に促すとともに、特別支援学校のコーディネーターの巡回相談や教育センターでの研修を実施してきた。子どもたちのニーズにきめ細かに対応できるよう研修内容や方法を改善し、特別支援学級担当者等の専門性の向上を図る。