子どもたちが安心して学び合うことのできる教育施策や条件整備を求めて

― 「民主教育をすすめる県民会議」が要請行動 ―

家庭の所得格差が子どもの大学進学率などの教育の格差に影響している実態がある中、新型コロナウイルス感染症の収束は見通せず、保護者の所得減少から更なる格差拡大が危惧されます。
日本はOECD諸国に比べて1学級当たりの子どもの数が多く、いじめや不登校、子どもの貧困等、子どもたちが直面する課題は深刻です。そのような子どもたちが抱える課題解決のためには、教職員が一人ひとりの子どもとしっかり向き合い、きめ細やかな教育を保障することが必要ですが、日本の教職員の働き方は先進国中でもっとも過酷であり、加えて教職員不足も社会問題となっており、その対応と計画的な教職員定数の改善が急務です。
一方で、学校現場は競争主義に基づく教育施策が持ち込まれています。国連児童の権利委員会は日本に対し、「高度に競争的な学校環境」が「いじめ」や「不登校」等を助長している可能性があると再三にわたり懸念を示しています。大分県では、独自の「学力テスト」や「体力テスト」、「高校通学区の撤廃」等々により、子どもたちは絶えず競争を強いられています。

現職の小中学校や高校の教職員、学者・文化人、一般労働者、大学教職員、教職員のOBG、そして保護者などで構成する「民主教育をすすめる県民会議」は、去る8月24日に「第50回国民教育要求実現大分県民集会」を開催しました。大分県から約50〜60人が集いました(コロナ禍のため参加人数を制限しました)。昨年、一昨年と新型コロナウイルス感染症のため集会や要請行動が中止となり、2年ぶりの開催となりました。
県民会議の代表である原田孝司議長(大分県議)のあいさつの後、2021年の活動報告(コロナのため中止)と2022年度の活動方針についての説明が川﨑亨事務局長(県教組)からありました。
これまでは、著名な方をお呼びして現在の教育をめぐる情勢や諸課題について講演をしてもらっていましたが、集会も簡素化され講演も無くなってしまいました。しかし今回は「夜間中学校」を取り上げ、『こんばんはⅡ』(37分バージョン)という映画(DVD)を集会前に上映し参加者全員で視聴しました。
また平岩純子副議長(県議)から、九州各県では夜間中学校の設置に向けた動きがはじまっているのに、大分県では調査で「ニーズが確認できない」という理由で、手をつけようともしていない現状の話がありました。教育は「ニーズのある・なし」で語られるものではないはずです。たとえ一人でも勉強をやり直したい、勉強がしたいと願う人がいれば、その思いに応えなければなりません。

その後、参加者は「県知事」「県議会」「県教育委員会」の3班に分かれ、それぞれ要請行動を行いました。今回は、知事も県議会議長も県教育長も所用で対応できなかったのが残念でしたが、参加者の皆さんは1時間という時間が短く感じられるほど、思いを熱く語られていました。
私は、県知事の班に加わらせてもらいました。ブラックと言われる学校の働き方や若い人が教職を敬遠したり人員不足になっている学校現場の状況について話し、一刻も早い対処を要求しました。
副知事も「教育現場のたいへんさは知っている。働き方改革については、積み重ねが大切。今日皆さんから聞いた要望は、知事や教育委員会にきちんと伝える」と応じてくれました。

3年ぶりの県民集会と要請行動でした。かつてより参加者の数は少なくなりましたが、たくさんの意見や要望が出ました。特に保護者からの意見は大切で、知事や教育委員会に対するアピール度も大きいです。コロナ禍では多くの保護者の参加は無理ですが、コロナが落ち着けばなるべく多くの方に参加してもらいたいです。
要求事項がすぐに改善されるのは稀ですが、子どもたちが安心して学び合うことができる居場所を作るための環境整備を進めさせるため、この取り組みは継続していかなければなりません。