新たな教職員研修制度 |
新たな負担増にならないか? 厳格化による管理にならないか? |
来年度から始まる教職員の新たな研修制度について文科省は6月27日、ガイドライン案を中央教育審議会の特別部会に報告しました。新たな研修制度では、任命権者である教育委員会が教員ごとに研修履歴を記録し、校長がそれに基づいて今後の研修の受講を奨励するとしています。
今回のガイドライン案では、記録範囲の研修を◇教委の実施する研修◇免許法認定講習◇任命権者が認める研修などとしています。このうち任命権者が認める研修には、校内研修や研究、教員が自発的に参加した研修も含まれています。この自主的な研修については申告に基づき記録することが適当としています。
問題の一つとなるのが、研修の記録をつける作業が新たな負担にならないかということ。内容は、研修名や受講時期、主催者などの他、研修リポートなども挙げられていますが、過度な負担にならないよう簡素化することも求めています。教職員の働き方改革が思うように進まない中、記録方法も含めて負担増にならないシステム作りが必要です。
もう一つの問題点は、教員の管理につながりかねないと懸念される「研修の成果確認」です。研修記録に基づく「指導・助言」について、教員については人事評価を行う期首面談や期末面談で校長が実施することとし、校長に対しては、教育長らが面談し研修の受講を推奨することを定めています。
また、「期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合」の具体的対象者として、①合理的理由なく、法定研修や悉皆の研修に参加しない②勤務の支障がないにも関わらず、必要な校内研修に参加しない③ICTや特別支援など特定分野で資質向上の必要があるにも関わらず、資質向上に努めようとする姿勢が見受けられない、などの場合を例示しています。
また指導が不適切と認定されなくても課題があるとみられる教員には、改善すべき分野についての自己評価や学校管理職の評価の後、研修計画書を作成し研修の受講につなげるという対応策も示されています。
部会の中では、「研修の厳格化による管理システムと受け取られかねない」と表現の修正を求める声も上がったそうですが、なんのために誰のために行われる研修なのかをよくよく考えないと、まさに新たな管理システムになるだけになると思います。天下の愚策であった「教職員免許更新制度」の失敗をよくよく検証して、同じ過ちを犯さないように文科省には強くお願いをしたい。
また、なぜ今、教育職が敬遠され学校現場がひどい人手不足となっているのかしっかりと分析し、これ以上先生方の負担を増やすことのないように、文科省と教育委員会をしっかり監視していきたいです。
文科省では今後実施するパブリックコメント(意見公募手続き)の結果を踏まえ、今年の夏に正式なガイドラインを各教育委員会に通知をする段取りになっています。ぜひ、現場の先生方から多くのパブリックコメントをお寄せいただきたいと思います。